ホラー映画を見るだけの簡単なお仕事です。

無職のアラサー麻葉まつこがホラー映画の感想を容赦無くネタバレしつつ書いています。

サクラメント 死の楽園(2013/米)

 

ある日、連絡が途絶えていた妹から奇妙な手紙を受け取ったパトリック(ケンタッカー・オードリー)。彼は過激な取材スタイルのVICE社のサム(AJ・ボーウェン)、ジェイク(ジョー・スワンバーグ)らとともに、とある共同体へと潜入取材を敢行する。

ヘリに乗ってたどり着いたのは「エデン教区」と名付けられた場所で、皆幸せそうに暮らしており、妹も無事だった。彼女は、ここで豊かな生活ができるのは“ファーザー”のおかげだと話す。他の住民の話を聞いても皆同様に笑顔でファーザーの素晴らしさを語るのだった。真相を確かめる意味も含めてサムがファーザーにインタビューしたいと希望し、それは実現することになる。

夜になると、住民たちは一堂に会し、ファーザーの登場を待っていた。彼が現れると皆立ち上がり、拍手をして迎えた。皆が見守る中でインタビューが始まる。サムは遠慮なく切り込んだ質問をしていくも、ファーザーはそれに対して飄々(ひょうひょう)と受け答えする。その一答、一答に対して住人たちは大きくうなずき、賛同するのだった。最後には大歓声まで巻き起こり、インタビューはサムの完敗に終わる。

その後、パーティが始まり、住民たちは楽しそうに歌い、踊っていた。平和に見える<地上の楽園>だったが、不可解な空気が見え隠れし始める。一旦集会所から離れると、夜の闇から現れた少女が「私たちを助けて」と書かれた小さな紙を渡してきた。遠巻きにいるのは、単なるガイドのはずなのに銃を持つ男たち。ファーザーの部屋に忍び込むと開いていた金庫の中には無数のパスポートが置いてあった。住人たちは一様に何かに対して祈りを捧げている。そして姿を消したパトリック。あからさまに異様な雰囲気の中、一部の住人たちが何かを恐れ、ここを出たいと内密に訴えてきた。自分たちがいるのはカルト教団で、一度入ったら出ることを許されない狂った場所だと言うのだ。

事態を重く見たサムとジェイクは明朝迎えにくるヘリで脱出を試みようとするのだが、突如として銃の乱射が始まる。しかし、これはまだほんの悪夢の始まりに過ぎなかったのだ―。

映画『サクラメント 死の楽園』オフィシャルサイト

 

まず致命的なことに私はPOVが苦手である。カメラが揺れていると目が回るのだ。カメラマンが撮影しているという設定(REC)や、定点カメラの映像をつないだタイプのモキュメンタリー物(ザ・ベイ)はそれなりに平気なのだが…。これはそこそこ揺れるのでちょっと辛い。カメラを持って森の中を走るシーンとかあるしね。

私のPOVへの苦手意識は置いておいて、この作品は一応レンタルショップではホラー映画コーナーにあったのだが、厳密にはサスペンスの括りのほうが相応しいのではないだろうか。心霊現象や怪物、連続殺人鬼が出てくるタイプの映画ではない。そもそもの元ネタが1978年に起きたカルトによる集団自殺事件である。しっかし実在の事件をモデルにしてる割に、元ネタより大幅に規模が縮小されてるのは何故なんだ。普通過剰にするもんじゃない?

また展開が遅く、全体的に不穏な雰囲気は大いに漂っているがなかなか事が起きないのが辛いところ。始まったら早いんだけど。ただPOVという形式上、教団の裏がほとんど描かれない状態でいきなり集団自殺が始まるので視聴者はちょっとおいてけぼりだ。その辺は取材スタッフの心境を体験できるようにかもしれない。えぇー皆殺しにしないといけないほどヤバイことしてたの!?と困惑しているうちにどんどん死んでいく信者。実際の事件と同じような裏があったのだろうか。あったんだろうけど具体例が銃を持ってるガードマンぽい男と、信者の没収されたパスポート、娘が教団でそこそこ上の地位にある女に折檻されたと母親が訴えるところぐらいしかない。その辺りはもう少し描写してよかったんじゃないのかなあ。


★★☆☆☆