ホラー映画を見るだけの簡単なお仕事です。

無職のアラサー麻葉まつこがホラー映画の感想を容赦無くネタバレしつつ書いています。

アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ(2016/米)

 

ドジで純粋なジョニーと美人で優しいミシェルはロサンゼルスにある冴えないドーナツ屋「ダンディ・ドーナツ」での店員仲間。ある日、ジョニーの叔父さんで自称サイエンティストのルーサーが化学実験の結果、人間を襲う凶暴な遺伝子生命体を作ってしまう。そのエキスを誤ってドーナツ店でばら撒いてしまい、それがドーナツを揚げる油の中に大量に入ってしまった! 次から次へと殺人遺伝子入りの油で揚げられたドーナツが量産される。そして自宅で、お店でドーナツを食べようとする客次々に襲い掛かるキラー・ドーナツたち。しかも奴らは統制され群れで襲い掛かってくる!
異変に気付いたジョニー、ミシェルはオタクのハワードを加えた3人組で、キラー・ドーナツたちを迎え撃つ。果たして彼らだけでこの地球壊滅的危機から人類を救えるのか?

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タイトル見たら一発で分かる人には分かる、迷作カルト映画「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」にオマージュを捧げたという本作品。元ネタがあるからか撮影技術の向上か、トンチキ具合としては割と控えめである。やっぱりどうしても狙ってる感を強く感じてしまうのだ。

登場人物も個々としてみれば、ドーナツを食うためにセクシードレスに着替え私がママよとドーナツに話しかけるおばちゃんやホームレス風のライバルドーナツ店?の店長(何故かねっちょりとシャワーシーンがある)、頭にツイストドーナツがぶっ刺さって死ぬチャラ男、股間にドーナツの消化液を食らう不良、おバカな警官コンビ、主人公の母親とデキちゃってる親友など濃い面々だが、なんていうか元ネタほどイカレてるかというとそうでもない。全てが無難にまとまっている。

ところでトマトの方では人食いトマトは転がされたり投げつけられたりしていたが、こちらのドーナツは模型以外にCGでも動く。このCGがまたチープなのだが、ドーナツというモチーフのせいか逆にこれはこれで可愛い。ドーナツがもにょもにょ言いながらリーダードーナツの指示で整列していたり、自分たちでドーナツを揚げて仲間を増やすシーンで油の中から飛び出してくる揚げたてドーナツ(何故か油から出たら既にトッピング済)など愛嬌があるモンスターに仕上がっている。パトカーも運転するし。ちょっとこういうキーホルダー欲しい。このCGの具合、幼少期に見ていたNHKの音楽ファンタジーゆめを彷彿とするのは私だけだろうか。私だけだろうなあ。

テーマ曲はトマトみたいに一回聞いただけで鼓膜に張り付くようなインパクトはないが、ロック調でかっこいい。これがこの映画を表している。トマトほどではないがB級映画としてはほどほどにトンチキでストーリーも一応流れはあり、ネタがネタなのでみんなでわいわい突っ込みながら見る分には良いのではなかろうか。クソ映画慣れしていない人の入門編におススメである。

 

★★☆☆☆

ファンハウス(2015/米)

 

ファンハウス [DVD]

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 世間がハロウィンシーズンで盛り上がる中、ステーツヴィル精神病棟に収容されていた6人のサイコパスが脱走。彼らが潜伏先に選んだのは……多くの若者たちが訪れ賑わいをみせている遊園地の中のお化け屋敷だった。何も知らずに遊びに来た能天気な若者たちを本領を発揮したサイコパスたちが素敵な恐怖のパーティーで出迎える!天職とも言える場所で、次々に自分たちの欲望を満たしていくサイコパスたち。果たしてどんな結末を迎えるのだろうか。ここは殺人さえもアトラクションになるファンハウス(お化け屋敷)!

ファンハウス | ポニーキャニオン

 

ハロウィン物とかお化け屋敷物好きなんですよね。暗そうな予告編に反してめっちゃ頭悪いスプラッターコメディ。面白かった!

冒頭から参考画像付きで登場する殺人鬼の紹介をしてくれるのでテンション上がらざるを得ない。人間を調理する殺人コック、ドリルで患者の頭を貫通するイケメン歯医者、人間剥製師とまたメンツも濃ゆい。あと殺人レスラーと集団自殺の教祖もいるけど、この人らは紹介映像が全くパンチないんだよな~。作中で一番働いてるのは殺人レスラーなんだけど。この人たち有名な殺人犯に似せてるのか、何となく既視感あるのが多い。教祖の娘が記者に化けて精神病棟の職員を皆殺しにしてこの五人を脱走させるのだが、彼女は絶対に元ネタハーレイ・クイン…。

被害者が皆ハロウィンに浮かれる浮かれポンチどもなので、目の前で殺人が起こってもジョークだと思って写真撮ってインスタに投稿しようとしたり全く緊迫感が無い。「リアルだなあ~」と呑気に殺人シーンを見てたり悪趣味全開で好き。みんなさくさく殺されていくので、死体の数の割にグロさは低め。

それにしてもこの映画、被害者がめちゃくちゃ強い。殺人鬼が弱いのかな?多分どっちもだが。殺人鬼に顔を切り付けられたのにブチ切れて乱闘の挙句頭をわし掴んでトイレの便器に突っ込むビッチ、ヒロインにガスボンベで頭をぶん殴られる歯医者、あっさり副保安官(こいつがまたトンチキ)に射殺される剥製師と視聴者を笑わせる気しかないのか?というシーンが多い。個人的には麺棒を持った殺人コック(デブ)vs肉叩き持ったマチェーテコスのメキシカン(デブ)の戦いに爆笑してしまった。この殺人コック結構いいキャラだったのに、お化け屋敷の自分のブースの設備がお気に召さなかったようでほとんど活躍してないんだよね。勿体ない。

活躍していないと言えばジャケットでいかにも殺人鬼の元締めみたいな顔をしているロバート・イングランド御大。ちょっとしか出てないし全くそんなことはなかったぜ!この人を教祖役にすればよかったのにギャラとスケジュールの問題かな…。

 

★★★☆☆

サクラメント 死の楽園(2013/米)

 

ある日、連絡が途絶えていた妹から奇妙な手紙を受け取ったパトリック(ケンタッカー・オードリー)。彼は過激な取材スタイルのVICE社のサム(AJ・ボーウェン)、ジェイク(ジョー・スワンバーグ)らとともに、とある共同体へと潜入取材を敢行する。

ヘリに乗ってたどり着いたのは「エデン教区」と名付けられた場所で、皆幸せそうに暮らしており、妹も無事だった。彼女は、ここで豊かな生活ができるのは“ファーザー”のおかげだと話す。他の住民の話を聞いても皆同様に笑顔でファーザーの素晴らしさを語るのだった。真相を確かめる意味も含めてサムがファーザーにインタビューしたいと希望し、それは実現することになる。

夜になると、住民たちは一堂に会し、ファーザーの登場を待っていた。彼が現れると皆立ち上がり、拍手をして迎えた。皆が見守る中でインタビューが始まる。サムは遠慮なく切り込んだ質問をしていくも、ファーザーはそれに対して飄々(ひょうひょう)と受け答えする。その一答、一答に対して住人たちは大きくうなずき、賛同するのだった。最後には大歓声まで巻き起こり、インタビューはサムの完敗に終わる。

その後、パーティが始まり、住民たちは楽しそうに歌い、踊っていた。平和に見える<地上の楽園>だったが、不可解な空気が見え隠れし始める。一旦集会所から離れると、夜の闇から現れた少女が「私たちを助けて」と書かれた小さな紙を渡してきた。遠巻きにいるのは、単なるガイドのはずなのに銃を持つ男たち。ファーザーの部屋に忍び込むと開いていた金庫の中には無数のパスポートが置いてあった。住人たちは一様に何かに対して祈りを捧げている。そして姿を消したパトリック。あからさまに異様な雰囲気の中、一部の住人たちが何かを恐れ、ここを出たいと内密に訴えてきた。自分たちがいるのはカルト教団で、一度入ったら出ることを許されない狂った場所だと言うのだ。

事態を重く見たサムとジェイクは明朝迎えにくるヘリで脱出を試みようとするのだが、突如として銃の乱射が始まる。しかし、これはまだほんの悪夢の始まりに過ぎなかったのだ―。

映画『サクラメント 死の楽園』オフィシャルサイト

 

まず致命的なことに私はPOVが苦手である。カメラが揺れていると目が回るのだ。カメラマンが撮影しているという設定(REC)や、定点カメラの映像をつないだタイプのモキュメンタリー物(ザ・ベイ)はそれなりに平気なのだが…。これはそこそこ揺れるのでちょっと辛い。カメラを持って森の中を走るシーンとかあるしね。

私のPOVへの苦手意識は置いておいて、この作品は一応レンタルショップではホラー映画コーナーにあったのだが、厳密にはサスペンスの括りのほうが相応しいのではないだろうか。心霊現象や怪物、連続殺人鬼が出てくるタイプの映画ではない。そもそもの元ネタが1978年に起きたカルトによる集団自殺事件である。しっかし実在の事件をモデルにしてる割に、元ネタより大幅に規模が縮小されてるのは何故なんだ。普通過剰にするもんじゃない?

また展開が遅く、全体的に不穏な雰囲気は大いに漂っているがなかなか事が起きないのが辛いところ。始まったら早いんだけど。ただPOVという形式上、教団の裏がほとんど描かれない状態でいきなり集団自殺が始まるので視聴者はちょっとおいてけぼりだ。その辺は取材スタッフの心境を体験できるようにかもしれない。えぇー皆殺しにしないといけないほどヤバイことしてたの!?と困惑しているうちにどんどん死んでいく信者。実際の事件と同じような裏があったのだろうか。あったんだろうけど具体例が銃を持ってるガードマンぽい男と、信者の没収されたパスポート、娘が教団でそこそこ上の地位にある女に折檻されたと母親が訴えるところぐらいしかない。その辺りはもう少し描写してよかったんじゃないのかなあ。


★★☆☆☆

ZOOMBIE(2016/米)

 

ZOOMBIE ズーンビ(吹替版)
 

エデン野生動物園。絶滅危惧種の保護を目的とし、動物たちのありのままの姿を見ることができ、自然の驚異を体験できる広大なテーマパーク。アプリで園内を歩き回る動物たちの居場所がわかるのも魅力的だ。来たる一般公開を控え、園内では職員たちの研修が行われていた。そんな中、診療所で治療を受けていた猿が発作を起こし、心臓が止まってしまう。しかし、突如奇声をあげて蘇った猿は獣医に襲い掛かり、駆け付けた警備員をも喰い殺し外へと逃げ出してしまう。通報を受けた園長のエレンは、すぐさま動物園を封鎖するが…。

ZOOMBIE ズーンビ « アルバトロスフィルム

 

CGは思わず半笑いを浮かべてしまうような出来だが、意外にテンポがよく登場人物も基本物分かりがいいのでこの手の映画としては十分及第点。出来がいい方のアサイラム作品だと思われる。この手の作品では大抵施設の責任者は隠蔽工作に走るものだが、本作の園長は迅速に園を封鎖し飼育員へ避難を呼び掛け警察に通報している。そんな真っ当な対応する人、B級映画にはそうそういないぜ!

それにしてもいかにも一番最初か最後に死にそうだった事務実習生の兄ちゃん(小者感に溢れちょっと性格悪そう)が、途中からシャツの袖とスーツの裾をむしり取り何かに覚醒したようにしっかり者になったのは笑ってしまった。露出度が上がるとメンタル強くなるのか?野生の男なのか?

タイトルに反してゾンビ要素は薄く、何故動物たちがゾンビ化したのかも解明されない。コアラゾンビの脳から未知の酵素が発見されたという程度でサラッと流されてしまうが、その辺はお約束だ。そういうものなのだと心を強く持つのがB級映画ハンターなのだ。

正直ゾンビというよりただ動物が凶暴化しただけな気もするが、キリンやコアラが人間を襲うという設定はいい。CGがアレなんだけど…。実質一番頑張っていたのは小型のおサルさんやゴリラだった。また登場時間としては短いものの、死体の上で「タスケテ!」連呼するインコゾンビや人間のハラワタで巣を作るタカだかワシゾンビもなかなかに斬新ではなかろうか。CGはほんとにアレなんだけど…。サメ映画レベルを想定しておいて頂ければ良いだろう。重ねて言うが安定のアサイラムだ。

まとめとして、制作アサイラム配給アルバトロスという意味が理解でき、尚且つそれを好むという方には十分楽しめる作品であると思われる。

 

★★★☆☆